暗い社会で明るい子供を育てる−−パート2
暗い社会で明るい子供を育てる
3つの次元から見た子供
精神的・社会的成長に影響する身体の健康。カンザスシティー・タイムズ紙に載っていたゲイブ・マーキン博士による記事は、健康状態の大切さを強調しています。博士は、ジェイミーという12歳の子供を例にあげていますが、ジェイミーは、頭の良い子供であるものの、前年の学校の成績はあまり思わしくありませんでした。彼は少し肥満気味で、筋肉も引き締まっておらず、また落ち着きがなく、長い間座っていることができなかったのです。することと言えば、座ってテレビを見たり、映画に行くぐらいのもので、スポーツは何もしませんでした。夏の間、マーキン博士はジェイミーを、自分で選んだ運動プログラムに参加させました。
マーキン博士は、私達は子供の頃といえばとても活動的な時期だと考えがちだけれども、ジェイミーのように運動量が充分でない子供がたくさんいると述べています。「体調が悪いと、学業成績も低くなる可能性が大いにあります。ですから私は、ジェイミーにもっと運動をするよう勧めたのです。結果は良好でした。ジェイミーは前よりはるかに良くやっています。今はユース・フットボール・チームでプレーしており、学校でも良くやっています」
マーキン博士によれば、幾つもの調査研究から、体の調子が良くないというのは、学校の成績が良くない生徒の多くに見られる特徴だということがわかっているそうです。シラキュース大学を成績不良で退学させられた生徒の83%は、最低限の体力検査にも合格できませんでした。
パードュー大学の体育の教授、A.H.イスマイル氏による実験的研究によれば、「身体の健康状態が良好な人はより知性豊かで、情緒も安定しており、落ち着きがあり、自信に満ち、あくせくしておらず、リラックスしている」ということでした。
イスマイル教授は、「体調を良好に保つという行為そのものが、そのような良い性格を強化する働きをする」と言っています。また、こうも述べています。「運動は単に健康を増進するだけではなく、その人の情報処理能力を研ぎすまし、その結果、学習能力が高まる。反抗的で、情緒不安定で、神経質で、けんか腰の人でも、長期間の健康増進プログラムによって性格を変えることが可能です。そのようなプログラムの参加者は、体調が良くなったと感じるだけでなく、落ち着きが増し、ゆったりし、もっと自信がつき、のんびりとリラックスできるようになります」
精神的鋭敏さを増すための運動と食生活。医学的に言えば、ケネス・コッパー博士によると、運動すると下垂体腺の働きが活発になり、モルヒネの二百倍も強力なエンドルフィンを体中に行き渡らせるということです。その結果、運動後の1時間から3時間は、エネルギー・レベルが高まり、創造力が頂点に達します。エネルギー・レベルが高まり、精神的にもより鋭敏になるなら、学習面でも益をもたらすはずです。
理想的には、子供に、キャンディーやソフトドリンク類、その他、大量に販売されている全く栄養のない食物(ジャンク・フード)を絶対に与えないことです。しかし、現実的に言って、その理想通りにやっていくのは生易しいことではありません。例えば、平均的なアメリカ人のティーンエージャーは、毎年836缶の炭酸飲料水を消費しています。(ディーズタイムズ誌1984年2月)ということは一日二缶以上です。これはまさしく狂気の沙汰であり、実に馬鹿げています! アメリカ心理学協会の最近の報告によれば、糖分の摂取を控えるなら、アメリカの深刻な少年少女による非行が80%も減少する可能性があるということです!
かわいいポチャッとした赤ちゃんは肥満児になりやすい。子供の体重をしっかりとコントロールするためのルールを挙げはじめたら切りがありませんが、ここでは簡単なものを幾つかあげることにしましょう。食事の時間は、できる限り、1日の内で最もくつろげるリラックスした時間であるべきです。
家族の問題は食事以外の時間に話し合いましょう。食事中に大きな音でテレビを見たり、新聞や雑誌や本を読むのは、絶対禁止です。家族と食事が尊重されるべきです。他の事に気をとられながら食事をすると、食べているという事実にさえ気づかないことがあり、その結果、必要以上に食べてしまいがちです。
子供にとって一つの人生の危機の訪れとも言えるのは、食べる物を自分で選び、甘い物や栄養価値のない物ばかり食べるようになる時です。親が断固としてこの悪い食習慣にノーと言わなければならない時期は、すぐにやって来ます。もし子供が反抗して何も食べようとしなくても心配しないこと。次の日か、あるいは次の食事までには、子供は栄養価値のある充分な量の食事のおいしさを知ることでしょうから、飢え死にすることはありません。
健康でいることは単純だが、簡単なことではない。研究に次ぐ研究の結果、ちゃんと朝食を食べて1日を始める子供のほうが、学校の成績が良いことがわかっています。その上、朝食抜きの子供は、後で朝食代わりに塩っからいおやつを食べることがよくありますが、それは体重の増加や緊張亢進症につながります。
栄養のある朝食を取るということは、子供が学校に行く前に父親や母親との時間を過ごせるという事であり、これは非常に大切なことです。こういった機会があると、親は、子供を励ますなどして、子供がその日良いスタートを切るのを助けることができます。
チームとしての努力と運動。エアロビクスで有名なケン・クーパー博士は、体重を減らして永久的にその体重のままでいる唯一の方法は、正しい食習慣と適度な運動を組み合わせることだと言っています。何度も何度もダイエットを繰り返したり、長期に渡ってダイエットをすると、だんだん、少ししか食べないのに体重がすぐ増えてしまうようになることがよくあります。体重調整プログラムのディレクターである心理学者のマーチン・カタハン氏は、極度にカロリーを制限すると、体はそれを生命維持の危機と解釈してエネルギーを保存するために、代謝率が下がると語っています。例えば、ダイエットする前には1日2000カロリーで体重が変わらなかったのに、1400カロリーしか摂取しなくなると、それでも体重が増える可能性があるということです。ダイエットではなく、運動をすることこそ、減った体重を維持するカギであると、カタハン氏はアドバイスしています。彼が推薦するのは、45分間速足で歩くなど、200カロリー分を消費する運動を毎日することです。そうやって1日200カロリーを余分に消費するだけで、1年に8キロから13キロの脂肪を減らすことができるのです。
早い時期に精神的なことを教え始める。心理学者であり何冊もの本を書いたジェームズ・ドブソン博士は、子供は、価値観に関する親からの精神的な導きや方向づけに、非常に早い時期から耳を傾け、学び始めると語っています。子供の人生の初期の頃、親であるあなたこそ、子供の手本であり、子供が人生のすべての面で鏡とする最も大切な存在です。精神面でバランスを欠いたこの世界においてあなたの子供に何よりも必要なのは、神に対して確固たる信仰を持ち、首尾一貫して信仰に満ちた態度を持った手本です。
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子供に投資することによって、あなたは毎週少しずつ「永遠」に投資している事になる。なぜなら、子供は永遠なのだから! これらの永遠の生命は永遠に生き、彼らに注ぎこんだものはすべて報われる!
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1830年代、アレクシス・ドゥ・トキビルがアメリカを旅行しました。旅程を終えた彼は次のような見解を述べました。(私がわかり易く言い換えました)
「私はアメリカを旅しました。そして、アメリカにあるほとんどのものを見ました。肥沃な畑も見たし、富んだ鉱山も見ました。産業力も見たし、また、美しい河川や小川、湖、雄大な山々も見ました。森林がとても豊かで、気候がこんなに素晴らしく、あなたがたは実に祝福されていますね。
でも、そうしたものの内には、アメリカを偉大なる国としているものを見いだすことはできませんでした。しかし、教会に行って初めて、なぜアメリカが偉大なる国であるかがわかったのです。アメリカが偉大なのは、アメリカが善良であるからです。そして、アメリカが善良である限り、アメリカは偉大です。もしもアメリカが善良でなくなったら、アメリカはその偉大さを失うことでしょう」
ゲイル・シーイーはその著書「開拓者」の中で、自分自身や自分の人生に強い満足感を抱いている人にはどんな特徴があるかについての研究結果を報告しています。彼女が発見した一つの事実は、調査対象としたすべてのグループにおいて、最も満足感を抱いている人達というのは普通、最も信心深い人達でした。もう一つわかったのは、人のためになる事に深くかかわることが、人生を形づくる上で大きな役割を果たすという事です。満足度の高い人達の調査結果は目を見張るものでした。幸福に感じている人達を見ていくと、より幸福な人ほど、自分以外の何かに生きがいを持っているのです。これは非常に著しい特徴で、現代の「自分第一」といった哲学はまるで国民総自殺計画だと思えるほどです。
子供にとっては愛情イコール時間
人の心を動かす講演家であり、指導者養成訓練の仕事に携わっているシーラ・マレー・ベセルは、次のような事を言いました。「私は、年輩の人が自分の人生を振り返って、『ああ、会社でもっと長時間働けばよかった!』とか、『もう一度やり直せるなら、もっと早起きをして会社に行き、もっとがむしゃらに仕事をするのに!』と言うのを一度も耳にしたことはありません」 思わず考えさせられるような言葉だとは思いませんか。年輩の人は大概、子供とあまり時間を過ごさなかったことを悔やむのです。
私が他のものに投資した時間やエネルギーはほとんど無駄に終わってしまいましたが、子供に投資した時間とエネルギーは、夢にも思わなかったほど大きな愛と喜びという形で報いられています。だから、私はよく、「『犠牲を払っている』のではありません。その報いはとても大きいですから」と言うのです。
けれども、子供に多くの時間を費やすのは簡単なことではありません。世界的に有名なバイオリン奏者であるフリッツ・クライスラーにまつわるこんな話があります。ある日、彼の所に熱心なファンが来て、「クライスラーさん、あなたのようにバイオリンを弾けるようになるためなら、一生を捧げますわ!」と言いました。すると彼は静かにこう答えたのです。「マダム、それこそ私のしたことです」 明るい子供を育てるのに自分の全生涯を捧げる必要はないとしても、やはり、多くの時間を子供に捧げなければなりません。
有意義な時間を充分に。私がここで言っているのは、中身の濃い時間のことですが、そんな時間を過したいと思うのであれば、ある程度の長さの時間をとらなくてはいけません。子供と一緒に腰をかけて、ただ「オーケー、今から十分、中身の濃い時間を取ろう」などと言うことはできません。
有意義な時間をとることは極めて重要です。しかし、夫婦同士の時間、あるいは子供との時間を一時間とる事を義務づけて、「さあ、一緒に中身の濃い時間を取ろう。どんな事を話したい?」という態度で臨んでも、あまり有意義な時間を過ごすことはできません。
「母親専業」の女性には、幾つかの素晴らしい利点がある。母親の持つ影響力は出生当時から明らかです。たとえば、クリーブランドのケース・ウェスタン・リザーブ医科大学のマーシャル・クラウス、ジョン・ケンネル両博士は、出産直後の1時間と、その後三日間、1日に5時間ずつ新生児と一緒にいることを許された母親は、それと同じだけの時間を新生児と過ごすことが許されなかった母親とは、違った行動・態度を取るということを立証しています。クラウス・ケンネル両博士の研究報告に興味をそそられて、他の学者達も研究を進め、その結果、出産後の数日間、数週間において、母親と、月満ちて生まれた健康な新生児との接触が多ければ多いほど、後になって児童虐待が起こる割合が少ないということを発見しました。また、母子の接触が多いと、乳児が泣く回数も減り、成長が速まり、母親のほうも愛情が深まり、より自信がつくということです。
一方、2400人の5年生児童を対象に調査をした結果、子供にとって一番の悩みは、両親と一緒に時間を過ごすことがほとんどないことだとわかりました。
アーマンド・ニコライ博士は、働き過ぎで、子供との時間もとれないような生活をする事は、離婚と同じくらい子供に害を及ぼすと語っています。これこそ、親としての最も深刻な過ちです。様々な文化を比較研究した結果、アメリカの親は、ソ連も含めた世界中のほどんどどの国の親よりも、子供と過ごす時間が少ないことがはっきりしました。
アメリカの少年少女がますます反抗し、麻薬やセックスに走り、悲しいことに自殺を図るまでに至っているのも、不思議ではありません。とりわけ、両親とほとんど時間を取れないことが、彼らの一番の悩みとなっている現代においては。
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ある成功している若い弁護士がこう言った。
「私が受け取った最高の贈り物とは、あるクリスマスに父からもらった小さな箱です。その中には、小さな紙切れが入っていて、こう書いてありました。
父はこの約束を守ってくれ、さらには、毎年その約束を更新してくれました。それは、僕が人生において受け取った最高の贈り物です。父がそうやって時間をとってくれたおかげで、今の僕があるのです」
息子よ、今年私はおまえに365時間を
プレゼントしよう。毎日、夕食後の
1時間だ。その時間はおまえのもの
だよ。おまえの話したいことを話し、
おまえの行きたい所に行き、おまえの
したい遊びをしよう。それはおまえの
時間なんだからね!
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あなたの優先順位はどうなっていますか? 優先順位は極めて大切です。自分の優先順位を見て、それぞれの事にどれだけ時間を費やしているかを見てみるなら、自分の人生で一番大切にしている事が何かが比較的簡単にわかるものです。1日に何時間もテレビを見ていながら、子供をサッカーの試合に連れて行く時間のない親は、子供と一緒に時間を過ごし、子供が成長していくのを見守るより、テレビを見ることのほうがずっと大切だということをはっきりと子供に伝えることになります。
明るい子供を育てるにはチームワークが必要
親の権威。子供の聞く音楽の多くが、「自由になる」権利や、「勝手きままにやる」ことを歌っています。しかし、子供が心から欲しているのは安心感だということが立証されています。臨床心理学者のマーチン・コーヘン博士は、この安心感は親が権威を持っていることから得られ、親がその権威を行使していないと、子供は不安に感じると語っています。子供は、親がついにその権威を行使してやめさせるまで、いけないことをし続けることがあるそうです。
子供は、実は、親に親らしい行動をとってほしいと求めているのです。自分が常に頼りにしてきた権威がまだ存在しているかどうか確かめているわけです。自分の安心感のより所に間違いがないかどうか確かめようと、ちょっと試しているだけなのです。親であるあなたがたは、子供を失望させてはなりません。親の威厳を保たなければならないのです。
権威とは、辞書によれば、「命令を与えたり、従わせる権利、力、行動に移し、最終的決断を下す権利」とあります。一つ、子供が必要としているもの、さらには子供が要求さえしているものは、親の権威をもってしっかりしつけてもらう権利です。それこそ、子供をいつも正しい方向に向けるものです。
パパとママは特別。最近、車のバンパーに、こんなステッカーが貼ってあるのを見かけました。「誰でも父親にはなれる。でも、パパになれるのは特別な人」 全くその通りです。また、誰でも赤ん坊を産むことはできますが、ママになるには特別な人でなければなりません。
歴史を築いた偉人について研究していると、彼らが親から受けた影響について語っているのによく気づくものです。アブラハム・リンカーンは、「私という人物が築かれたのは、天使のような母のおかげだ」と語ったそうです。ダグラス・マッカーサー将軍はこう言いました。「聖人のような母は私に、神への献身と愛国心を教えてくれた。それこそ、ずっと私を支えてくれたものだ。彼女に対し、改めて息子からの敬虔なる感謝を捧げる」 偉大なる説教師G・C・モルガンには4人の息子がいましたが、四人そろって聖職につきました。家族が久し振りに集まった時、一人の友人が息子の一人に「モルガン家で一番優れた説教師は誰だと思うか?」と尋ねました。するとその息子は父の方を向いて、目を輝かせつつ、「もちろん、母ですよ!」と言ったのです。
将来、子供達が築きあげていく世界、子供達の明日への展望は、子供達が親である私達をどう見ているか、そして今日私達が子供達をどう育てるかに大きくかかっています。何と重大な責任でしょうか!
子供を育てるには、チームワークと、チームのリーダーシップを要する。明るい子供を育てるには、チームで協力して育てるのが一番です。家族は真に一個のチームなので、チームで団結したほうがより効果的に機能します。家族が団結すると、一人一人ばらばらでする以上に多くのことが成し遂げられます。
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星空に自分の名を記したいか?
ならば子供の心にそれを大きく記しなさい。
子供はその名を覚えていることだろう!
より良く幸せな世界を夢見ているか?
子供にその夢を語りなさい。
彼らがそういう世界を築いてくれるだろう!
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勝利チーム−パパとママ。私の言わんとしているポイントは、明るい子供を育てるには、パパとママが両方家にいる場合、二人共、子育てのあらゆる側面にかかわるべきだということです。それが、父親と母親と子供達が勝利に至る唯一の道です。
尊敬の念を持たせるこれは必須事項! 愛と尊敬を基盤とした関係を築くには、このことを心に留めておかなければなりません。つまり、子供が親のことをどう思っているかによって、子供の親に対する反応のしかたが変わってくるということです。子供が親に対して愛や尊敬の気持ちを持っているなら、親であるあなたに対して、子供は従順で、優しい態度を取ることでしょう。けれども、親に対する尊敬の念がないなら、子供は間違いなく、反抗的で、尊敬を欠いた態度をとることでしょう。だからこそ、親は、尊敬心と愛を育てるような態度で行動すべきです。尊敬の念がないなら、真の団結もありません。
親が、子供との約束を破ったり、夫婦で二人きりの時であれ、人前であれ、互いに怒鳴り合ったり、酔っ払って千鳥足で帰宅したり、互いを尊敬を欠いた態度であしらったりするなら、子供が親に対して抱いていたかもしれない、いかなる尊敬の念も打ち砕かれてしまいます。そうなると、従順さやしつけなどは、どこかに吹っ飛んでしまい、おまけに、子供の心にかなりの混乱が生じます。子供は確かに親であるあなたを愛していますが、あなたのことを尊敬できないために、あなたを心から好きになることができず、感情的なジレンマに陥ってしまうのです。
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完璧なる子育ての定義は簡単。
ひたすら間違いを繰り返しながら、
だんだんその回数が減っていくこと。
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パパとママが一致団結している事。明るい子供を育てるのに、簡単な手順や方法はないと前に言いましたが、必要不可欠なものはたくさんあります。そして中でも最も大切なのは、両親の関係です。互いに対する尊敬や優しさに欠け、暴力をふるうほどではないにしろ、口喧嘩が絶えない、そんな親を見ながら育った子供は、結婚生活とは戦場であり、家族というのは、楽しむものではなく、ただ耐えるものであり、できるだけ早く家を出たほうがいいということを、ゆっくりながらも確実に学ぶことでしょう。
家族とのコミュニケーション
話し合いましょう。多くの場合、夫婦間の問題は解決可能であり、深刻な家庭の崩壊は、思いやりと、会話によって避けられます。家族の誰かが、故意にであれ、そうでないのであれ、家族の誰かと一言も言葉を交わさなかったり、あるいはもっとよくあることですが、相手の言うことに耳を傾けないことによって、その人を締め出してしまうことがあります。明るい子供を育てるには、親は、子供とのコミュニケーションや、互い同士のコミュニケーションを持つようにならなければなりません。
表面的には、これはかなり簡単なことに思えます。しかし、あわただしい毎日に、実に多くのことを私達は行なっているのに、古き良き会話の時間だけが、生活から消滅してしまったように思えます。私は16年間訪問販売をしてきて、何千という家を訪れ、子供の扱いも、家庭によって実に様々なのを見ました。5才の子供にすっかり支配されている家庭も幾つも見ましたし、親がティーンエイジャーをひどく威圧し、服従させており、ティーンエージャーのほうは話すこともせず、話しかけられても相手の目を見ることができず、見ようともしないといった家庭も見てきました。
会話には時間がかかる。夫婦が互いに話し合うことの重要性は、いくら強調してもし足りないほどです。平均的な主婦の一番の不満とは、夫が、事実や数字にしか興味がなく、最低限のコミュニケーションしかしないことです。
赤ん坊は、誕生の瞬間から話しかけられる必要があります。実際、新生児を抱きあげ、歌を歌ってやったり、話しかけてやったりすればするほど、赤ん坊は情緒的により安定し、頭が良くなるということが立証されています。
家に赤ん坊がいる場合に、多くの親が犯しがちな大きな間違い、つまり、いつまでも赤ちゃん言葉を使うことをしないようにして下さい。実際、赤ちゃん言葉が最もふさわしい時とは、赤ちゃんやよちよち歩きの子供を抱いている時、その子にキスをしたりする時です。子供が目の前にいる時でも、部屋の向こう側にいる時でも、子供に話しかける時は、年長の子供と話している時とほぼ同じ話しかたをして下さい。もちろん、少しゆっくりめに、はっきりと、優しく話さなければなりませんが、ごく簡単な言葉しか使わないというのではいけません。赤ちゃんや幼児は、話せる以上に、はるかに物事をよく理解することができるのです!
おしゃべりな4才児の扱い。子供も絶対に家族の会話に参加させるべきです。家族だけのおしゃべりの時には、最初から、子供も加えておしゃべりをしたらいいでしょう。子供というのはそうやって大人の世界に対応することを学び、もっと回りに敏感になり、語いを増やしていき、社交術や会話術を身につけます。また、こうするなら、子供はチームの一員だと感じるようにもなります。
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子供の言う言葉、それは、想像力に富み、新鮮で、正直な詩のよう。家庭での子供のふとした言葉の多くが、実は愛の詩。一度、私達が客と居間にいた時、私の幼い娘が、ソファーに座っていた私の隣にちょこんと座ってこうささやいた。「時々、私のことも見てちょうだい。そして笑いかけたり、話しかけたりしてくれる?」 これは、世界に対する子供の永遠の愛の詩の一篇。
--レーチェル・ペイドン
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子供を仲間に入れる。誰もが必要としていること、それは、愛され、理解されることです。家族の話し合いやコミュニケーションに子供も参加させて、子供が自分は家族の大切な一員だと感じるようにするなら、一生に渡る家族のきずなを築く事になります。
声の調子に気をつける。子供は私達を試すことがよくあります。彼らは私達の権威を試し、私達が子供に屈服したり、子供のした悪さに対して見て見ぬをふりをするかどうか見ようとするのです。けれども、一旦ルールや限界がしっかりと定まると、子供は安心し、そういった境界線があることを感謝するようになります。
指図したり、「だめ」と言う時の声の調子は極めて重要です。声の調子というのは、最も効果的なコミュニケーションの道具ですが、一番大切なのは、声の調子や抑揚によって、権威を示すと同時に、子供に対する愛や思いやりも伝える事です。それには、努力と敏感さと自己鍛練が必要です。これも、家庭には、一番よく頭が働き、一番愛情深い人が必要な理由の一つです。
「だめ」と言わなければならない時には、よく考えた上で言うべきです。一度「だめ」と言ったのに「まあ、いいか」と言い変える回数が増えるにつれて、子供は、あなたの「だめ」をテストするようになります。そうすると、衝突や知恵比べを続けることになり、時間とエネルギーの消耗になります。その上、親こそすべてを取り仕切っている権威者なんだということに対する子供の自信が損なわれ、子供は、親の権威を喜んで受け入れられなくなってしまいます。たいていの場合、「だめだ、だめよ」と言う時には、断固とした態度で言い、それを押し通すべきです。
理由をもって「だめ」と言う。「だめ」と言うと、子供がお決まりのように「どうして」と聞くなら、「どうしてだと思う? どうしてそれをしてほしくないか、どうしてあそこに行ってほしくないか、わかるかしら?」と優しく聞き返すのも一つの手です。そうすれば、たいてい、ちゃんとした答えが返ってくることでしょう。子供のほうが、あなたが考えもつかなかった理由を言うかもしれません。(あなたが公平であって、子供とオープンなコミュニケーションをとってきていたなら、そういうことが起こります)
大声はかえって問題を引き起こす事がある。子供とコミュニケーションを持つ時に親が犯す間違いで一番深刻なものは、声の大きさに関する間違いでしょう。ウェイン・ステート大学で、3、4才児から成るグループと5、6才児から成るグループを対象にある調査が行われ、その結果、興味深い事実が明らかになりました。
子供はたくさんの命令を受けました。「手をたたいて」のような肯定文の命令もあれば、「つま先にさわってはいけません」のような否定文の命令もありました。研究者が優しい調子で話しかけた時は、どちらのグループの子供も言われた通りにしましたが、声を大きくすると、特に3、4才の子供達は、してはいけないと言われたことをしたのです。要するに、子供、特に幼い子供は、親の張り詰めた声を聞くと、とっさにその対象物に注意が引かれるので、かえって、するなと言われた、自分の害になるようなことをする傾向があるということです。たとえば、親が「道路に出ないで!」と叫ぶと、小さな子供はビクッとして、歩道から出てしまうことがあるのです。
真の権威者は、落ち着きがあり、優しいが、きっぱりとしている。あなたがイライラして気を取り乱すなら、子供は耳を貸さなくなり、あなたに対する尊敬を失ってしまいます。なぜなら、子供は自分があなたを取り乱させたと知っているからです。適切な声の調子を用いて、きっぱりと下した命令には、力がこもっており、相手を納得させ、さらにはやる気を促します。あなたが自分の感情を抑制し、状況もうまくコントロールしているという事が見てとれるなら、子供は、あなたの権威と自信に満ちた優しい声に反応します。
最善の結果を導くために、何か頼む時には丁寧に言う。礼儀正しい話しかたは家族の間ですぐに広まっていきます。あなたに何か頼みたい時に丁寧な言葉づかいで言うよう、子供に教えるといいでしょう。「ママ、ミルクもう一杯ちょうだい」とか、「パパ、ブーツを脱ぐの、手伝ってちょうだい」というふうに。同様に、あなたは言葉と行動によって教えるわけですから、あなたも同じ礼儀作法に従うべきです。たとえば、「ベッドを整えてちょうだい」とか、「静かにしててね」などと。また、子供が言われたことをちゃんとしたら、「ありがとう」と言うべきです。丁寧な物の言いかたをして、あなたの権威に傷がつくことはないし、それどころか、何かをしてもらったら「ありがとう」と言うことを子供に教えることになります。
これは、子供に礼儀を教えると同時に、従順さを教えるのに効果的です。アン・サリバンはヘレン・ケラーについてこう語りました。「私はこのことについてじっくりと考えたのですが、考えれば考えるほど確信がわいてきました。それは、子供が従順であることを学んだ時に初めて、その子供の心に知識、そして愛の光がさしこむようになるのです」
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子供を訓練するには、たくさんの時間と忍耐と理解、それに、たくさんの真の愛を要する。
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すべてがコミュニケーション。私達は様々な形で子供とコミュニケーションをします。ボディー・ランゲージ(意志や感情を伝える無意識の身振り、表情、態度)は間接的ながら多くのことを語るし、また口にする言葉や、どれくらいの時間を子供と一緒に過ごすかも、直接的に何かを伝えます。最も建設的あるいは否定的な結果を招きうるコミュニケーションとは、親が子供について話している時のものです。子供の前でする会話、あるいは、子供が聞いていないと思って話している時の会話から、親が子供について本当はどう思っているかがわかることがよくあります。子供は、そうやってふと耳に入ってきた言葉を信じ、それに応じた振る舞いをするものです。
私は、親が子供を怪物だとか間抜けだとか呼ぶのを耳にしたこともあれば、親がこんなふうにひどく残酷なことを言うのも聞いたことがあります。「この子が3年生の読みのテストに落ちた時に、この子には手を焼かされる、この子が成績優秀な子になる可能性はないってわかったわ。この子、学校ですごくばかなことをするのよ。まあ、わかりきったことだけれど。だって、家でもばかなことばかりするんですもの」などと。
この章を終えるにあたって、家族間のコミュニケーションの鍵となる要素について一考を促したいと思います。その鍵とは、多くの人々が自然で当たり前のこととみなしていながら、実行が最も難しいこと、つまり、聞くこと、それも熱心に耳を傾けることです。子供でも親でも、相手が自分の言っていることをちゃんと聞いてくれていると思うと、相手のことを尊敬し、さらには自分のことも尊重するようになります。自分の言ったことの価値が認められているのですから。このことは、自分が価値ある存在と感じることの重要性について話し合う次の章にも関連しています。そう、次の章では、あなたがどのようにして自己に対する良いイメージを持つか、また、子供が自己に対する良いイメージを持つのをいかに助けるかについて論じます。
健全な自己イメージを築く
無条件の愛の必要性。そう、ひやかし、虐待、あら探しなどは非常に破壊的です。ある意味では、それらはすべて、批判的で害を及ぼす、マイナス思考が原因です。全部がつながっているのですが、個人的に私は、大人も子供も、自己に対して悪いイメージを持つ第一の原因は、親からの無条件の愛の欠如だという結論に達しました。親からの無条件の愛があってこそ、自分を受け入れることができるのです。かなりの量に及ぶ調査を私自ら行い、また、私達の様々なスタッフ・メンバーが、当校の「I Can」プログラムや、「Born to Win(勝利すべく生まれる)」セミナーを通して何千という人々と接触して調査をした結果をもとに、私はこの結論に達したのです。
無条件の愛とは何でしょう? それは言葉通り、何の条件もなしにその人を愛すること、その人が何かをしたから愛するのではなく、その人自身を愛することです。悲しいことに、あまりにも多くの親が、子供が部屋を片づけたり、良い成績を取ったり、11時前に帰宅したり、「良い」子でいるならば、子供を愛するという態度を持っています。つまり、条件付きの愛なのです。そうすると、子供はしばしば、自分は親の愛をも受けるに値しないと感じるようになります。愛は良い行いに対して与えられるものであって、行いが良くないと、愛をもらえないというわけです。親は、子供自身のことではなく、良い行いや良い成績を愛しているだけだと子供が感じるなら、予期できない問題や困難を生み出す可能性がいっぱい詰まったパンドラの箱が開いたことになります。
自分は親に愛されるにもふさわしくないんだと感じると、その子は、自分は全く愛されるに値しない存在なんだと考え、さらには、自分のことなど愛するべきじゃないと思うようになります。論理的に言って、子供が自分のことが好きになれなくて、自己嫌悪を抱いているとしたら、一体誰がその子を愛してくれるのでしょう? じきにその子は、自分など何の価値もない無用な存在なんだと思うようになることでしょう。「自分は無用な存在だ」という感情は、自己イメージに対する大きな打撃となり、子供をひどく打ちのめすものです。
自己に対して低いイメージを持っていることの現れ。十代の憂うつさもまた、低い自己イメージを持っていることの現れです。憂うつさや落ち込みと自己嫌悪の行き着くところは自殺なので、これは極めて重大です。アメリカでは、自殺が子供の死因の第二位にあがっています。(「USニュース・アンド・ワールド・レポート」誌、1984年11月12日号より) 自分を非常に低く評価していると、人は自分が人生において成功する見込みも薄いと考えがちです。すると、ふさぎこみ、悲しいことに、それはしばしば自殺につながります。
個人差、万歳。言うまでもありませんが、一人一人の子供に対して同じ扱いをしたり、同じ期待をかけたりしてはいけません。そして一人一人が、社会に貢献する明るい子供として育てられるべきです。頭の良さ、腕力、容姿の良さといった面でどうであるかに関係なく、子供が自分に対して抱くイメージは、親がその子供について心の中でどう感じているかによって大きく左右されるということを覚えておいて下さい。これは極めて重要なことです。
親の皆さん、覚えておいてほしいのですが、一般的に言って、才能に恵まれた子供が自信を持ち、仲間に受け入れられていると感じるのは、比較的簡単な事です。何かの理由により自己軽視に陥りがちなのは、しばしば才能に恵まれない子供の方です。この様な子供に対しては、親が「良い所を探す人」励まし手となり、特別な愛や、思いやりを与え、知恵を働かせる必要があります。
自己イメージについて、「すべきこと」と「すべきでないこと」
1.親は、自分が子供だった頃の学校の成績を何度も何度も子供に話したくなる誘惑に打ち勝たなければなりません。ある人が笑いながら言ったのですが、親の子供の頃の成績は、時がたつにつれて、どんどん良くなっていくという事です。現実には、親が子供にかける願いは、自分が子供だった時にはかなわなかった願いなのです。
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牧師が道を歩いていると、男の子達が犬を取り囲んでいた。
「犬をどうしているのかね?」と牧師は優しく尋ねた。
「一番大きな嘘をついた者がその犬をもらえるんだ。」
「やれやれ」
牧師はあきれて言った。
「私が君たちぐらいの年だった時には、嘘など絶対につかなかったものだ。」
一瞬の沈黙があった。そして一人の男の子がこう言ったのだった。
「牧師さんの勝ちだ、犬をどうぞ。」
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2.私達は子供達に次のことを教え、思い起こさせる必要があります。つまり、その子が自ら受け入れてしまうのでない限り、誰もその子に劣等感を抱かせることはできないということです。だから、決して劣等感を受け入れてしまってはいけないと教えなければなりません。
3.人の性格は、他の人がその人をどう見るかによって判断されるものです。ですから、子供にコミュニケーションの方法を教えることは、子供の人生のどの時期にあっても極めて重要なことです。従って、私は皆さんに、子供が人生に対して熱意を持つよう助けることを強く勧めます。これには、いろいろな方法があります。
例えば、誰かに紹介されたら、礼儀正しく、心をこめて「お会いできてうれしいです」と言うようにと教えることです。
4.何事でも最後までやり抜くと、自分に対してより良いイメージを持つようになる。子供には、できるだけ頻繁に、家回りの仕事でも、はっきりとした始まりと終わりのあるものを選んであげるといいでしょう。達成可能な計画を与え、子供にかかりそうなだけの時間を与えてやるなら、必ず最後まで仕事をやり抜くよう助けることになります。
5.誰も彼も、頭の良さ、腕力、容姿などの面ですべて優れているわけではありません。けれども、正直さ、礼儀正しさ、朗らかさ、忠実さ、熱心さなどといった点については、どれを取っても、他の人と同じぐらい優れていることができると教えて、子供を安心させてあげましょう。
6.あなたが子供に教えられることの内で、読みは確かに、一番大切なものの一つです。読みは、人生のほぼあらゆる分野において学ぶカギとなるのです。
7.子供が自分に対して良いイメージを持つように、マナーを教えなさい。私達の社会では、この20年間、誰もが想像を絶するような忙しさに追われており、多くの親も「忙し過ぎて」、子供に規律や一般的な礼儀や簡単なテーブルマナーを教えることができないでいます。親が子供の教育のこの面をなおざりにするのは、怠慢という深い罪の一つです。
テーブルマナーの基本も知らない親が驚くほどたくさんいます。口に食べ物が一杯つまったまま話したり、野球バットのようにフォークを握ったりするかと思えば、紅茶やコーヒーに砂糖を入れてかき混ぜた後でスプーンをカップに入れっ放しにしたり、テーブルの向こう側までも手をのばしたりします。それに、口に爪ようじを加えたまま家やレストランを出て行く親もいます。あなたがた親に子供に良いテーブルマナーを教えるだけの知識や忍耐がない場合には、子供がそうしたマナーや社交的品位を身につけられるように、家庭科の授業を受けるよう勧めてみてはどうでしょうか。
8.健全な自己イメージを築くうえで最も大切なことの一つに、明るく愛情あふれた環境を作ることがあります。もちろん、これは家庭での態度のことです。
9.もう一つ、良いイメージを築く上で非常に役立つことは、一日を始めるにあたって、鏡に映った自分の目を見つめながら、今日、最善を尽くし、最善の自分になると誓うことです。それから、その通りのことをするのです。そして夜、床につく前にまた朝と同じことをし、正直に、「今日、私は最善を尽くした」と言うのです。自分で自分は最善を尽くしたと知っていることほど、自分について良い気持ちがすることはありません。
自己イメージを高めることについて、最後に一言。あなたの子供が9才から15才の間の時期には、他のどの時期にもまさって麻薬や非行に走る危険性が高いと、かなり確信を持って言うことができます。
この時期こそ、あなたが子供の肩に腕を回したり、ハグやキスをしたりし、どんなに彼らを愛しており、彼らを必要としているかを告げることを、子供が切に必要としている時です。子供は実際にそういうことを必要としているのです。おかしなことですが、子供は、この時期に親を一番必要としているものの、親といるとひどく居心地悪く感じます。それも一つの理由で、多くの子供は親を避けるのです。親の皆さん、そのように子供が親を避ける時こそ、理解を示し、あまり圧力をかけることなしに、愛情深く子供とコミュニケーションを持つようにしなさいというシグナルです。
セックス
性教育は日ごろの生活を通して教えるもの。もし父親と母親同士でちょっと手をつないだり、セックスとは関係なしに何気なく愛を表現するようなことをしたりして、互いに対する思いやりや愛情をあらわにしているなら、子供は非常に幼い頃から自然と、家族とは愛に満ちた集まりであり、結婚するのは素晴らしいことだと考えるようになります。愛し合う両親が互いを思いやる気持ちを行動に表すなら、子供は何よりも、そうした両親の姿を見ながら、異性に対する正しい態度や振る舞いを身につけていきます。このような両親は、子供が生涯を通して観察することのできる優れた性教育の研究所を提供していることになります。これを良いきっかけとして、子供達に、セックスや人生におけるセックスの役割について教えていったらいいでしょう。
私の6才の息子がものすごく古いテレビ映画を見ていた時のことです。主人公の男女が抱擁し合っていました。たまたま部屋を通って、それを見かけた私は、冗談げに「おい、何だい! すごくベタベタしているじゃないか!」と言いました。すると息子は、テレビから目を離しもせず、「ハ! 自分とママはどうなの!」と言ったのです。
正直言って、私は、息子がパパとママは家で喧嘩ばかりしていると近所に言って回るよりは、いつも抱き合っていると言いふらされた方がいい気持ちがします。私の知る限りでは、息子はせいぜい私が妻に親しみをこめてチュッとキスする所ぐらいしか見ていないはずです。しかし確かに、私達が手をつないだりハグしているのはよく目にしています。
ゆるすこと
−−人生において極めて「建設的なこと」
ゆるすこと! それは、人生で最も重要かつ困難なことであり、ゆるさないというのは危険なことです。聖書はこの主題についてはっきりとこう語っています。「もしも、あなたがたが自分のあやまちをゆるすならば、あなたがたの天の父もあなたがたをゆるして下さるであろう。もし人をゆるさないならば、あなたがたの父もあなたがたのあやまちをゆるして下さらないであろう。」(マタイ書6章14〜15節)
ゆるすことによって、あなたは父なる神の愛と力としっかりつながることができ、誤解も取り除かれ、あなたをひどくあしらったり、あなたの気を害した相手とのコミュニケーションの扉が開かれます。親戚や、以前の友人、その他の人々との間に憎しみや憤りや恨みがあるなら、ゆるすことをしない限り、完全に自由になることはできません。
この本全体で扱っている事柄の中から、あなたが心に平安を持ち、もっと人生を楽しむのを助け、同時に、子供と良い関係を築き、子供の成長の手助けをし、仕事においてもより成功するのを助けることを一つだけ選び出すとしたら、それはこのゆるしです。これまでに自分を傷つけたと感じる人のところに行き、一人一人に、あなたがその人にしたかもしれない過ちに対してゆるしを求めることです。そして、一人一人に、あなたはもうその人のことをゆるしたとはっきり言うのです。これは恐らくあなたにとって非常に難しい行為でしょう。しかし、これは、あなたがすることの内で一番重要なことであり、それをしないのは非常に危険です。
人をゆるす。自分を傷つけた人をゆるす時、あなたはこう言っているのです。「私は今、自分の未来や、自分の振る舞いや、成功あるいは失敗に対する全責任を自分で負うことを受け入れます。私はもう、自分の状態が良くないとか、自分が破産したとか、アル中だとか、麻薬をやっているとか(あるいはこれこれの問題を持っているとか)といった事を、あなたのせいにしたりはしません」 自分の振る舞いに関する責任は自分でとり、自分が成功するかどうかに対する責任も自分で負うことにするなら、あなたは、自由と成功に向かって大きな一歩を踏み出し、大きく成長することになります。
現実の問題であるにしろ、頭の中だけの問題であるにしろ、友人や親兄弟、夫や妻などとうまくやっていけないという問題があるなら、あなたがどんな害を被ったかや、どんなに傷つけられたかに関係なく、相手をゆるし、また、あなたがその人にしてしまったかもしれない過ちに対してその人からゆるしを乞うよう強く勧めます。これは、両者にとってまさに最善のことです。それによって、あなたの神との関係が正しくなるばかりか、傷がいやされ、あなたを傷つけた相手と和解する扉も開かれるのですから。