心身症はとは 心のストレスで起こる体の病気 Homeに戻る⇒   神経症のページに進む⇒


心身症を精神病の一種と思っている人がいるようですが、これは誤りです。心身症は、心のストレスに対する過剰反応が、体の病気を引き起こしてしまうものです。

●ストレス状態が続くと免疫力も低下する。
わたしたちの体には、外敵から身を守るための生体防衛システムが備わっています。体内に細菌やウイルスなどの有害な異物が侵入してくると、免疫という防御陣がこれを攻撃して排除し、体を病気から守ってくれているのです。しかしストレス状態が続くと、この生体防御システムも影響が現れ、免疫力が低下してしまいます。その結果、ますます体の病気を招いてしまうことになります。
●現実心身症と性格心身症の2つのタイプがある。
「欲求不満」と「心理的葛藤」の2つに分けられ、現実生活上の出来事が原因になる場合と、その出来事に対して自分がとる行動が原因になる場合があります。前者が「現実心身症」後者が「性格心身症」
●例えば現実心身症は、家族や財産を失うなど、心に強い負担がかかるようなストレスが原因で、体の病気が起こるものを言います。
一方、ある出来事に対して、どのような行動を取るかは、その人の性格や考え方などによって違ってきます。例えば、何事も完璧にこなさないと気がすまない性格の人は、仕事に対しても手抜きしません。それが心に強い負担をかけ、体の病気を招くこともあるわけです。これが性格心身症です。

☆短絡的に心の病気かと心配することはあまりよい事ではありません。何ども同じ病気をぶりかえすとか、今まで治療を受けてもあまり改善されないとか、あるいはその人の今の生活で沢山のストレスがあると心当たりがあるなら、心身症や神経症ではないかなと、考えてみるこも必要かなと思います。その場合は、内科医院ではなく、心療内科や精神科に恐れず受診することをお勧めします。そして結論を急がす、医師とよく相談しながらその人の状態を知っていったらよいと思います。そして心の病気かもと恐れないで下さい。それは心のかぜです。深刻なことではありません。また恥ずかしいことでも異常なことでも有りません。そのことに気が付かないで、悪化させて、本当に心身症や神経症、さらにうつ病や統合失調病を発症させてしまうことになったら、それこそ残念なことです。ですから心のサインをしっかり見てください。そして例え心の病を発症していたとしても、それは治るものです。そのためにこそ、あなたの支え、家族の支え、まわりの支えが必要です。愛と理解、そしてサインを見落とさない、それが大切なことです。




心身症と神経症の違い

いずれもストレスに対する過剰反応によって起こる病気です。心身症はそれが体に現れ、神経症では心に現れます。
両者では、患者さんの傾向も異なってきます。心身症の患者さんには、周囲の人に気を使いすぎて、頼まれるといやと言えないような人が多いです。神経症の患者さんは感情的になりやすく、対人関係がスムーズにいかない人が多く見られます。


心身症として起こる病気とは

生活習慣病なども心身症の場合があります。
●胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群などの消化器系
●狭心症や心筋梗塞といった循環器系の病気
●アトピー皮膚炎や円形脱毛症といった皮膚の病気まで非常に広範囲に渡ります。
☆心身症として起こる生活習慣病も多い:高血圧や糖尿病など、偏った食生活や運動不足など、生活習慣の乱れは本人が自覚していないだけで、心の問題がからんでいることが少なくありません。精神的ストレスやそれによる生活習慣の乱れが、ガンを促進することはすでによく知られています。

心身症として起こる主な病気
〇呼吸器系
・気管支ぜんそく・過換気症候群・神経性咳嗽(せき)・咽頭けいれん・慢性閉塞性肺疾患
〇消化器系
・胃・十二指腸潰瘍・過敏性腸症候群・慢性胃炎・急性胃炎(急性胃粘膜病変)・神経性嘔吐・腹部膨満感・空気嚥下症(呑気症)・慢性膵炎・慢性肝炎・食道けいれん
〇循環器系
・本能性高血圧・本能性低血圧・起立性低血圧・狭心症・心筋梗塞・一部の不整脈・いわゆる心臓神経症・血管神経症・レイノー病
〇内分泌代謝系
・単純性肥満症・糖尿病・心因性多飲症・甲状腺機能亢進症・神経性食欲不振症・過食症・反応性低血糖
〇神経系
・偏頭痛・緊張性頭痛・自律神経失調症・眼瞼けいれん・めまい・しびれ・異常知覚・冷え症
〇骨・筋肉系
・慢性関節リュウマチ・全身性筋痛症・脊椎過敏症・書痙・痙性斜頚・頸腕症候群・チック
〇泌尿器系
・夜尿症・インポテンス・過敏性膀胱(神経性頻尿)
〇皮膚系
・アトピー性皮膚炎・皮膚掻痒症・円形脱毛症・多汗症・慢性じんましん・湿疹
〇耳鼻咽喉科領域
・メニエール症候群・咽喉頭異常感症・心因性難聴・耳鳴り・アレルギー性鼻炎・乗り物酔い・嗄声(声がれ)・心因性失声症・吃音(どもり)
〇眼科領域
・中心性漿液性脈絡網膜症・原発性緑内障・眼精疲労・眼瞼けいれん・眼瞼下垂・飛蚊症
〇口腔領域
・顎関節症・突発性舌痛症・慢性反復性の口内炎・口臭症・口腔乾燥症
〇産婦人科領域
・月経困難症・月経前緊張症・続発性無月経・月経異常症・機能性子宮出血・更年期障害・不感症・不妊症
〇小児科領域
・起立性調整障害・反復性腹痛・気管支ぜんそく・神経性食欲不振症・神経性過食症・周期性嘔吐症・心因性けいれん
〇手術前後の状態
・腸管癒着症・ダンピング症候群・頻回手術症・形成手術後神経症

どんな人が心身症になりやすいのか
ストレスの多い現代では、誰でも心身症にかかる可能性があります。特に心身症を招きやすいタイプの人がいます。
〇欲求が高く、行動しすぎるタイプはストレスをつくりがち
物事や他人に対する欲求水準が高すぎる人というのは、何をやってもなかなか満足するということがありません。つまり欲求不満に陥りやすいことから、心身症になりやすいです。幸せのレベルはひとそれぞれです。たとえば、家族と過ごす団欒のひとときに、幸せを感じる人もいれば、そんなありきたりのことでは満足しない人もいます。どちらが心身症になりやすいかというば、断然後者タイプです。
また仕事でも家事でもやるとなると徹底的にやってしまう人、つまり行動しすぎるタイプの人も心身症にかかりやすいといえます。行動しすぎるタイプは、性格的に熱中しやすい人のほか、周囲に気をつかいすぎる人がいます。こういう人は、人から頼まれると自分のことは後回しで頑張ってしまうので、知らぬ間にストレスをためこみやすいです。
〇ストレスを自覚できない人も心身症になりやすい
これを失感情症、失体感症といいます。これは自分の感情の動きを自覚できない、あるいはそれを言葉でうまく表現できない状態を言います。失体感症は自分の体に対する気づかいが足りない状態を言います。体の病気にかかり、当然痛みを感じていい段階にあるのに、それを感じません。痛みがあってもそれが意識にのぼらないのです。心身症の患者さんにはこのような失感情症や失体感症の人が多く見られます。

心身症を治すには、体の治療とともに、心の治療も行っていくことが欠かせません。さまざまな心理療法を用いて、原因となる心の問題を解決していきます

☆同じ胃潰瘍でも、ストレスが原因のこともあれば、単に偏った食事が原因のこともあります。これを心身症かどうか見分けるためには、体の検査とともに面接が非常に重要になってきます。心身症と判断されたら、患者さんの苦痛を取り除くために、体の症状に対する内科的な治療を行い、併行して、症状を引き起こす原因となっている心の問題を解決するために、心身医学的な治療を行って行きます。具体的には、まず心の状態を安定させるために、抗不安薬や抗うつ薬などの薬物治療を行います。ずっと薬に頼るわけにはいかないので心理療法を用いて、心を穏やかに保つための治療を行って行きます。
〇リラクゼーション法を覚えて、ストレスに強くなる。
〇心身症を招きやすい考えかたや行動の修正もはかる。
☆治療に関しては専門の医師に御相談下さい。

不眠症の原因はさまざま
生活が不規則だったり、騒音がひどいなど環境に問題があると不眠を招くこともありますが、ストレスや生活に変化があるとしばしば不眠が現れます。
心配や悩み事があると、なかなか眠れません。また、結婚や転居など、生活に大きな変化があると、その緊張や興奮で眠れなくなることもあります。こうしたストレスや生活の変化が原因で不眠になっても、1〜2日ぐらいなら問題ないですが、何日も続くことがあります。すると今度は眠れないことが心配になり、、眠らなくてはといういうあせりが生じてきます。そのあせりが逆に脳を興奮させて、ますます眠れないという悪循環を招いてしまいます。
〇うつ病や神経症の症状として不眠症が現れることも
不眠症は、うつ病の初期によく起こる症状です。うつ病の場合、夜中に目覚めて眠れなくなってしまう早朝覚醒が多いですが、不安や焦燥感が強いうつ病では、なかなか眠れない入眠困難症もよく見られます。神経症の患者さんにも、しばしば不眠症が見られます。
〇体の病気や薬によって不眠になることもあります。
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