神経症 〜心が不安に取りつかれたとき心身症のページに戻る!  Homeに戻る⇒


神経症は「ノイローゼ」ともいわれます。日常の会話の中でも耳にすることがある言葉でしょう。さまざまなタイプがありますが、多くは、心の悩みが原因になって、耐えがたい不安に苦しんでいます。

「神経症はストレスの反応が心に現れる」
その影響で心身にさまざまな症状を引きを起こすします。
なぜ神経症になるのか、そのメカニズムは現代の医学でもまだわかっていませんが、その人の生まれ持った素因(病気になりやすい素質)や性格に、ストレスやショックな出来事が重なって、発症すると考えられています。何が要因になるかは、人によってさまざまです。対人関係をめぐっての葛藤、社会的立場の変化、居住環境の変化、受験や出世競争などによるストレスがきっかでとなることもあれば、失恋、火事や地震などの災害のショックが引き金になることもあります。
「症状は心身両面にわたるが共通するのは『不安』」
神経症は症状も多彩で、心身両面にわたっています。そこで症状によって、「不安障害」「心気症」「抑うつ神経症」「ヒステリー」など、さまざまなタイプに分類されますが、いずれのタイプも共通して見られる症状があります。それは「不安」です。健康な人でも不安はあります。神経症の場合は違います。耐え難いような極度の不安が終始つきまとい、その苦痛は日常生活や社会生活に支障をきたすほどの強いものなのです。
☆ここで音楽や肯定的なテーマや積極的思考をテーマにした映画、本などの読書、読み聞かせなど不安の元となっている考え方や、ものの受け止め方に気付けるように助けの手を差し出すことができます。うまく行くとは限りませんが、鍵となるものがあり、それによって、思いが大きく変わり、不安が解消されることがあります。聖書的見解ですが、それが信仰の姿勢です。信仰が芽生えることで恐れが終るのです。「信仰は恐れの終り、そして恐れは信仰の終わりという」格言があります。
「神経症の一部は脳の一時的な機能障害とも考えられる」
人間の大脳には、喜怒哀楽といった情動をコントロールする機構(情動機構)が備わっています。最近、神経症の一部は、脳の一時的な機能障害で、この情動機構の働きが低下している可能性が高いと考えれています。そこで神経症の治療では、精神療法に加えて、薬物療法も重視されるよになっています。タイプによっては、薬で症状を抑えられるものもあります。
「こんな人が神経症になりやすい」
●心配性で、日ごろから不安感を感じやすい人や、ストレスを受けやすい人は要注意です。
家を出るときに、鍵をかけただろうとか、ガス栓を閉めただろうかと・・・ふとしたときに不安にかられることは誰にでもあります。神経症の患者さんの場合は、こうした不安にとらわれやすい傾向が見られます。神経質や心配性な性格の人は、他の人なら気にもとめないような、ささいなことでも不安に陥り、その不安がどんどん大きくなってしまうことから、神経症につながりやすいのです。
完ぺき主義、潔癖症、感じやすく傷つきやすい人、自分に自信がない人、引っ込み思案な人、こうした人は自分の行動に自信がもてないため、不安にとらわれやすく、神経症になりやすい性格です。
●ストレスを受けやすい人、処理の下手な人もなりやすい。
依存症が強すぎる、感情的になりやすい、自己中心的、わがまま、・・・こういう性格の人は、自分を取り巻く環境や人などに対して不満を抱きやすく、その不満を自分の中でうまくコントロールすることができません。ストレスも受けやすく、処理するのも下手ともいえます。
〇まとめ:神経症になりやすい人
・神経質・几帳面・完ぺき主義・潔癖症・自分のやり方にこだわる⇒ささいなことで不安になりやすい
・感じやすい・傷つきやすい・自分に自信が持てない・引っ込み思案⇒不安にとらわれやすい
・依存心が強い・感情的になりやすい・自己中心的・自己愛が強い・柔軟性に欠ける・融通がきかない⇒不満を抱いて葛藤を生みやすい


「不安神経症〜激しい不安に襲われる」
理由があって不安になることは誰でもあります。不安神経症では、訳もなく強い不安にとらわれ、それが続いたり、繰り返し現れます。最近増えているパニック障害も、不安神経症のひとつです。
●パニック障害:理由もなく突然、激しい不安に襲われ、発作を起こします。20歳から30歳の女性に多いです。
●全般性不安障害:全般的な不安が長期的に続く不安障害です。絶えず漠然とした不安にとりつかれ、イライラと落着かず、動悸やめまい、倦怠感などの自律神経症状も伴います。不安の対象は、仕事や家庭などの全般におよんでいます。しかしその不安には根拠がありません。漠然としており、不安の対象がコロコロとかわり、一定していません。20歳代での発症がほとんどです。
〇パニック発作の現れ方
・動悸・呼吸困難・胸痛・発汗・ふるえ、ふるえ、身震い・吐き気・めまい・感覚麻痺・冷感、熱感
「恐怖症〜いわれのない恐怖感から逃れられない」
不安神経症と違って、不安の対象がはっきりしているのが恐怖症です。恐れる必要もないものに対する、いわれのない恐怖感にとらわれ、日常生活にも大きな支障をきたします。
●危険でもないのに激しい恐怖感を抱く
高所恐怖症、閉所恐怖症、多人恐怖症などいろいろ対象があります。
●恐怖にとらわれて生活に支障がでたら病気と考える
「強迫神経症〜不合理だと思ってもやめられない」
ある考えや行為にとりつかれてしまい、そこから抜け出せなくなる病気です。手を洗い続けるなどの無意味な行為で時間が費やされ、日常生活にも大きな支障が出てきます。本人の意思に反して、ある観念が繰り返し浮かんできたり、脅迫観念にとらわれて、ある行為を繰り返し行わないと安心できなくなるという病気です。
強迫神経症の人は、ある性格の傾向が認められています。「まじめで理想が高い、完ぺき主義、頑固で柔軟性は乏しい、優柔不断で決断力に乏しい、仕事人間で数字にこだわる。」などです。
▽強迫神経症の現れ方・鍵をかけ忘れていないか気になり、何度も繰り返し確認する・何かにさわると手が汚れた気がして、手を洗う行為を繰り返す・机の上が乱れているわけでもないのに、繰り返し整頓せずにいられない・自分が人を殺してしまうのではないかという思いにとわられ、おびえる・満員電車の中で自分が痴漢行為をするのではないかという考えが繰り返し浮かぶ・「1+1はなぜ2になるのだろう」などと、とりとめもないことを考え続ける。
「抑うつ神経症」
憂うつな気分になり、外界への関心が薄れ、自分に対する自信がなくなってきます。将来を悲観し、内に引きこもりがちになり、食欲や性欲も低下します。ただ、こうした基本症状はうつ病でも同じであるため、症状を聞いただけでは抑うつ神経症かうつ病かを鑑別するのは難しいといえます。アメリカ精神医学会の診断基準DSM−Wでは、抑うつ神経症とうつ病をともに「気分障害」という名称でくくり、抑うつ神経症はその中の「気分変調性障害」に対応するものとして分類されています。抑うつ神経症という診断名が消えて、分類上はうつ病のひとつの亜型とされています。これまでの考え方では、患者さんのうつ状態が心因性であるか内因性であるか・・・つまり病因に心理的葛藤が影響しているか(神経症か)、あるいはその人が持って生まれた体質や気質などが影響しているか、という点から両者を区別してきました、ところが、最近は内因性のうつ病の人でも心理的葛藤がみられという、両者の境界に位置する例が増えています。
●抑うつ神経症の診断基準
*食欲減退、または過食
*不眠、または過眠
*気力の低下、疲れやすい
*自尊心や自信の低下
*集中力や決断力の低下
*絶望感
☆うつ病より抑うつ状態が軽く、個々のうつ状態の持続時間も短いですが、全体の経過をみると抑うつ神経症のほうが年単位で長引きます。
☆抑うつ神経症は、憂うつというだけでなく、不機嫌でいらだちやすくなります。
☆うつ病の人は自責的になり、なにごとにつけ自分を責めますが、抑うつ神経症の人は他の人のせいにするなど、責任の所在を外に求めがちになります。
☆性格や社会環境適応度では、うつ病にかかる人は几帳面で、人にも配慮できるなど、社会適応がよいのが特徴です。一方、抑うつ神経症の人は、性格面で未熟なケースが目立ち、うつ病ほど社会適応度は高くありません。うつ病の人は医者の前では強がって、あまり弱音を吐きませんが、抑うつ神経症の人は医者に対しても依存的で症状を大げさに訴えたりします。
☆一般的にはうつ病が中年期や初老期に多く発症するのに対して、抑うつ神経症は青年期に多く、中には中学生で発症するケースも珍しくありません。
☆うつ病には抗うつ薬が効きますが、抑うつ神経症には抗うつ薬はあまり効果がありません。
「こんな神経症もある」
●心気症:体の病気があると思い込む
自分の体のことが異常に気にかかり、少しでも体が悪いと、重大な病気ではないだろうかという不安にとらわれる。
●ヒステリー:記憶や意識、神経の異常も起こる
記憶や意識が傷害される(自分の名前や住所を忘れたり、意識がもうろうとしたり、トランス状態となる)解離性障害、運動神経や感覚器が傷害され、全身がけいれんしたり、手足が麻痺したり、目が見えなくなったり、声が出なくなったりする症状が転換性障害
●離人神経症:若い女性に多く、精神的なストレスやショックが原因で起こる神経症で、現実感や実在感が希薄になる。「何をしていても自分がしているという感じがない」「周囲の出来事がアニメでも見ているようで実感がわかない」などと訴えます。誰でも非常に疲れているときなどに、こうした感覚を覚えることはありますが、離人神経症ではそれが継続したり、繰り返し起こります。
●抑うつ神経症:喪失体験などから、うつに陥る。家族や友人を病気で失うなど、強い精神的ストレスがきっかけで、うつ状態に陥るものです。憂うつで気分が重く沈んだ状態がづっと続くほか、食欲不振や睡眠障害、倦怠感なんどの身体症状も伴います。(上の「抑うつ神経症」を参照)
●神経衰弱:過労や病後によく見られる。
疲労感、不眠、無気力、情緒不安定などの症状が起きます。
*検査しても体には何の異常も見つからないのに体の症状がある。あるいは、体の病気はたしかにあるが、その病気から考えられる症状に比べて、あまりにも自覚症状が強い。心の問題が原因で、このような説明のつかない体の症状を示す病気を「身体表現性障害」と言います。心気症やヒステリー障害もこの内に含まれます。


「神経症になるとどんな治療をするのか」
神経症の治療では、病気の基盤にある不安を取りのぞくことが第一です。
心理療法が主体になりますが、タイプによっては薬を用いることもあります。
●心理療法(精神療法)で不安を軽減していく
神経症の基盤にあるのは不安です。そこでカウンセリングや行動療法などの心理療法を用いて、不安を軽減していく治療が行われます。
●タイプによっては脳の機能障害によっても不安が引き起こされます。そこで抗不安薬や抗うつ薬などで、つらい症状を取り除く効果があります。
●心の緊張をほぐすリラクセーションも大切!


「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」衝撃的な体験をきっかけに発症する。
災害、自己、犯罪などに巻き込まれ、極度の恐怖や不安を体験すると、それが心に深い傷をのこすことがあります。これをトラウマ(心的外傷)といいます。PTSDはこのトラウマがもとで、次のような症状が現れるの病気です。
▲抑うつ状態:気分がふさぐ、意欲や集中力が低下する。
▲覚醒亢進症:イライラする、寝付かれない、ちょっとした物音や動きにもびくっとしてしまう・
▲再体験症状:悪夢にうなされたり、事件の記憶が生々しくよみがえる、フラッシュうバックを繰り返す。
▲回避症状:その時の出来事を思い出させるものを避けるようになる。
●発症にはその人の素因や性格なども関わってくる。衝撃な体験をした人がすべてPTSDになるわけではありません。
「退却神経症(スチューデント・アパシー)」

この病気は近年、大学生を中心に増えており、患者さんが学生の場合は「スチューデント・アパシー(無気力症)」と呼ぶこともある。中心的な症状は、意欲が減退して無気力になること。極端な場合は社会からひきこもってしまい、家から一歩もでなくなる。しかしほとんどの場合、無気力になるのは自分が本当にしなければいけないこと−本業である勉強や仕事に対してのみで、学生であれば、大学に行かなくてもアルバイトや趣味に熱中するなど、いわば「選択的無気力」が特徴といえます。
普通の人でも無気力におちいることはありますが、通常は長くて2〜3ヶ月もすれば自然に回復するが、退却神経症の人は、自分の力で回復することはむずかしく、放置しておくと1年以上にわたって無気力な生活を続けてしまう場合がある。
●退却神経症にかかる人の性格は、おとなしくまじめな一方、強情で頑固、また受動的で自分から何かを働きかけていくことが苦手。そして対人関係では、人と対立することを避ける傾向にある
▲治療
・自分の将来について、率直に話し合うことことから
一般に退却神経症の人は、怠けているという自覚はあるものの、無気力な状態でいることを自分の中で黙認しているところがあり、深刻な悩みとしては受け止めていません。心の奥底では不安で仕方ありませんが、自分が何をしたらいいかがわからず、心の中で葛藤しているうちに、勉強や仕事に対して無気力、無関心になってしまう。
「境界性パーソナリティー障害」
■パーソナリティー障害の定義:簡単に言うと、「大多数の人とは違った反応や行動を示す人」ということで、認知(自己や他者、出来事に対する認識の仕方)や感情(範囲や強さ、感情反応の適切さ)、対人関係や衝動を抑えることなどに問題があるとされる。パーソナリティー障害は決して珍しい病気でなく、軽度のパーソナリティー障害は10人に1人の割合で見られるといわれるほどです。
■境界性パーソナリティー障害の特徴:この障害の人は、精神発達の段階で明確な自己像をもてないまま成長し、自分が生きていることに対して存在価値を疑うほどの非常に強い不安が根底にあります。普段はそれを懸命に忘れようとつとめていますが、ちょっとしたきっかけで不安が頭をもたげてきて、それから自分を守るために、幼稚で原始的な方法をとってしまいます。
・見捨てられることに強い不安を持ち、現実や想像の中において見捨てられることを避けようとする異常な努力をする。
・対人関係が非常に不安定で、同じ人に対して過剰な理想化と過小評価の両極端を揺れ動く。たとえば会社の上司を、素晴らしい人だとふれまわる日もあれば、ミスを叱られてたとたんに激しくこきおろすなど、人物評価が目まぐるしく変わります。
・自己破壊的な衝動性によって、無謀な運転や万引き、薬物を乱用したりする。
・激しい怒りが込み上げて抑えることができない。頻繁にかんしゃくを起こしたり、けんかをくりかえす。
・感情が不安定で、短時間のうちに正常な気分からイライラしたり、抑うつ状態や不安な気分に変わったりします。
・自傷行為を含めて自殺のそぶりや行動をとるが、「自分はそれほどつらい」ということを訴えるための場合が多く、実際には自殺にまで至ることはありません。
・自分の人生の目標や価値観を見出すことができず、職業選択や安定した友人関係を築くことなどができません。
・慢性的な空虚感や退屈な感情を抱きます。
●境界性パーソナリティー障害は、思春期から青年期の間にはじまり、どちらかというと女性に多く見られる。精神医学の分野では、家庭内暴力や摂食障害、登校拒否など、近年、社会問題となっている青少年の行動を理解する上で重要な概念となっている。
▲治療
・根気よく、治そうという本人の努力を引き出す。
治療であると同時に家族も含めて、再教育、再養育でもある。長期にわたっての根気が必要であることを本人、家族に説明
・我慢する力を身につけてもらう
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参考事項
「▼境界性人格障害とは」

境界性人格障害の境界とは、神経症統合失調症の境界という意味で、統合失調症というほどの症状でもなく、かといって、神経症ともいえない状態を指します。感情面の極端な不安定さが特徴で、人間関係に絶えずトラブルがあり、リストカットといった自傷行為や自殺をほのめかしたり、企てることがしばしばみられます。


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