「さらに統合失調症を理解するために!」 統合失調症Homeに戻る⇒
統合失調症は、気疲れ病、手抜きできない病、頑張りすぎ病、逃亡失調症、チャンネル切り替え困難病とも言えます。
生活習慣病は間違った生活習慣が原因で慢性の病気になりますが、統合失調症はあやまった考え方の習慣が病気を起こす、精神生活習慣病とも言えます。つまり、あやまった考え方の習慣を変えることが回復につながります。あまりにも気をつかいすぎる、なかなか手抜きできない、何でもやりすぎるくらい頑張る、絶対逃げたりしない、最後まで責任を負う、そして変化に弱く、心のチャンネルをすぐに切り替えられない・・・そんな人は誰でも統合失調症になる可能性がありす。
病気の反対は病気になる前に戻ることではなく、「元気」です。病気になる前に戻ると誤解しがちですが、病気になる前とは病気に後一歩であり、かなり大変な状態です。元気でいるためには、病気を起こす起病力とそれに対抗する抗病力のバランスが取れて健康でいることです。ストレスがかかると起病力が大きくなり、健康のバランスが崩れ、元気がなくなり病気になります。人間の体には早期警戒システムというのがあります。バランスが崩れると、警告反応がでます。それが早期警戒システムです。体の一部の痛みが続く、とか下痢や便秘を繰り返す。熱が出たり引いたりする。風邪がなかなか治らない。不眠が続く・・・それを無視して頑張り続ける、そうすれば誰でも病気になります。大切なのはその警告反応にすぐ対応することです。二晩眠れなくても大丈夫です。でもそれ以上眠れないなら、もう心は風邪ひき状態です。その時は良く眠ることが大切です。支援する私たちの役目は、ぐっすり眠れるように助けてあげることです。
↑起病力・・・・・・・・・・・・・・・・・抗病力↑(薬・養生・仲間つくり) 元気=健康、は病気になる前の状態に戻ることと思い
↓ △ ↓ ますが、病気になる直前とはかなり不健康なことです。
健康バランス図 そこに戻るのではなく、元気になることが健康です。
健康=元気(病気なる直前の状態ではない)
起病力と坑病力のバランスが取れていること。
これがバランスが取れていると回復になります。薬は症状を取り除き、生活の障害を取り除いてくれます。養生することで体力や心の力が付きます。養生は大切です。ゆっくりし、充分休み、ストレスから解放され、栄養を摂り、体力をつけ、リラックスさせてください。そして仲間作りで社会に参加し自立するという元気を取り戻せます。この仲間つくりが大切です。この仲間つくりの中から心の癒しが始まります。そして薬の副作用がかなり大変なこと、そして病気と同じくらい大変なこと、そして副作用とどのように付き合っていくかも大切なことです。これにもまわりの理解が必要です。また病後はこの副作用が病気の中心にもなりえます。薬の副作用は抗がん剤の副作用と同じくらい負担になることがあります。この副作用が大変で食べて寝るだけで最初は精一杯です。ぴったりの薬が見つかり、そして体に合ってくると、まるでみちがえったようになります。そして同時に病気の元である扁桃体の神経肝細胞の再生を栄養で補助することで回復を安定したものにすることができます。そして完治も不可能ではありません。そして薬を飲んで家に引きこもっていては症状は出なくても、癒されることはありません。やはり人との交流、愛、が答えです。ただたっぷり時間がかかること、そして家族にとっては忍耐のテストとなることを心してください。ウサギとカメ、ゆっくり行けば勝利!
違った観点からパート2
《芙蓉会病院メンタルヘルスケアボランテイア講習会》から分かりやすく
統合失調症は、さまざまな刺激を伝える、脳をはじめとした神経系が障害される病気です。患者さんの感覚としては「眠れなくなり、神経が過敏になり、まわりが不気味に変化したような気分になり、リラックスできず、頭の中が騒がしく、やがて大きな疲労感を残す」というような体験のようです。風邪で高熱を出したとき頭の中をとめどもなく意味不明な記号や思考が渦巻いた経験がないでしょうか。同じです。
大体100人に1人の割合で羅病した体験を持っているということです。これは統合失調症が奇病のたぐいでなく、誰しもが体験しうるような病気の一つであるということを示しています。遺伝や子育てとは直接関係ありません。
人は、それぞれに生物としてのもろさをどこかしら持っています。そして病気とは、その人のもろさの限界を超えたときに転ずる状態だと考えられます。もろさをもたぬ人などどこにもいないわけで、こう考えると統合失調症は特別なごく一部の人におこる問題ではなく、誰にでも起きる可能性がある病気といえます。
「或ることで悩む・・・眠る前にちょっと考えてみる・・・あうでもない、こうでもないといろいろ考える・・・そしてある夜それがいつまでも続く・・・それを夜遅くまで考えいつまでもくよくよ考えるようになる・・・そしてそれが朝まで・・・不眠症になる。皆起きる朝にやっと眠くなる・・・でも『学校だよ!』『仕事だよ』と起こされる・・・眠くて辛いけどしぶしぶ起きて、学校へ、或いは会社へ行く・・翌日も翌日も・・・そしてある日、とうとう起きれなくなる・・・『この怠け者』と怒られる!そして次の日も・・ただ考えるだけで、問題は大きくなるばかり、・・・そして夜、働き始めた脳は止まることなく回転始める、あいつが悪い、こんなことしたからだ!悔しい!やってやる・・でもできない。どうして誰も気が付いてくれないの、誰も助けてくれない。自分ひとりだ。」・・情報を伝えるドーパミンの脳での流れがもうパイプが割れて洪水状態です。こわれたコンピューターのように止めることができなくなり、そして機能停止フリーズしてしまいます。そしてもういろいろなことを関連付けて考えられなくなっています。何が真実で現状か、何が自分の思い込みか、ごちゃ混ぜになってしまっています。
そんな時、自分の思い込みが幻聴として聞こえてきます。誰でも48時間徹夜したら幻聴を聞く可能性があります。アメリカ陸軍の実験でブラックボックスという窓の無い真っ暗な部屋に48時間いたら、誰にでも幻聴が起こるという実験結果があります。そして幻覚も!過労状態で寝たとき、目が覚めたとき自分がどこにいるのか思い出せなかったとか。「締め切り、締め切り・・・」と聞こえてきたり!空想にふけって・・はっと気が付いたら、現実に戻ったとか・・・・そうただの過労や疲労なら・・・肩をたたかれたらはっと気が付いて我に戻れます。しかし統合失調症の場合は、外部を感知する脳機能が停止しているので(耳や目での現実認識)そう簡単にははっと我に戻れません。我に戻してくれる誰かの助けが必要です。彼らは心のブラックボックスに閉じ込められてしまったのです。これが幻聴幻覚の原因です。その心のブラックボックスから連れ出す・・・それが答えだと、このことから簡単に理解でします。その方法はひとりひとり、それぞれで違います。その人の症状がその人のヒストリー。それを理解し、ゆっくりその救出作戦を担当医師と相談していきましょう。「出てこい!」とは簡単にはいきません。やはり、どうにかなると信じる信仰、無条件で愛する愛、そして心からの祈り、そして自分の身に置き換えて共感することから来る忍耐が答えです。
「幻聴・幻覚・・人間の五感すべてにある」その仕組みと過程。
幻聴と空耳は違います。そして妄想と夢想は違います。独言(どくげん)とひとりごとは違います。
統合失調症の人が我に帰るのは大変難しいです。しかし時間がかかりますが、・・・肩を激しく振って「大丈夫」と声をかけるとで、我にもどすことができることもあります。
幻聴は金属音のようなものから始まるそうです。まずはなんだろうと耳を傾けます。つまりその人の注意を喚起します。するとそれに神経が集中し、何度も耳を傾けるうちに、金属音が人の話し声に変わっていき、自分への話し声として聞こえてきます。まさに現実に声として聞こえてきます。それに答えるようになるので、幻聴は他の人の目には、その人が自分を相手に会話しているように見えます。それが独言になります。幻聴の特徴は会話形式だということです。当然否定的なものになります。それは心の中の自分の否定的な声が、他人の声として聞こえているのです。幻覚も同じです。自分の心で見たい物が映像として見えるのです。これも否定的です。でも本人にはとっても辛いことです。「誰か話してくる」と相談されたら、「そんなの聞こえないよ、思い違いじゃない」といわれることは、本人にとても辛いことです。なぜなら実際に耳に聞こえ、目で見えるわけですから・・・あなたにもそんな経験があるはずです。見間違いや、聞き違いで恥ずかしい思いをしたことがあるはずです。
同じようにそれを否定されたら、本人はさらに辛いです。「そう私には聞こえないけど、あなたには聞こえるのね。辛いよね。」その理解の一言が楽にします。幻聴、幻覚、妄想などは薬で改善されます。本人にとって一番辛いのは、幻聴、幻覚、妄想よりも・・・それを否定されることです。見間違いをしたあなたは「でもそう見えたんだ!」と言い訳しませんでしたか。そして辛いですよね。そして恥ずかしくなります。それが統合失調症の人が感じることです。否定されると、とっても気まずくなり、人の目が気になり、とってもまわりに敏感になります。まるで自分が中心にいて、皆が自分に向かってきているように恐ろしくなります。自分は間違っている、あの人は私を否定している。皆自分が嫌いだ、心配だと思い始め、周りにとっても気をつかいます。自分が真ん中にいて、皆自分に向かってきている、そう感じたら・・・それが極端になるとまわりは皆自分を攻撃してくる、反撃しなければ!それが自分を守る為に、やられる前にやらないと!と反撃の暴力になります。自分を守ろうとして勘違いしているのです。そして人ごみの中にはいけなくなってしまいます。何百人もの人が自分を見て、自分を嫌いで、自分に向かってきている!そう思い込んでしまうのです。自分のまわりのすべての人の顔が気になります。もしコンサートに出たことがあるのなら、コンサート前の緊張感を思い出せますか。皆が自分のあらゆる音を聞いていて、間違ったら絶対にわかってしまう。もし失敗したら、皆自分を下手だと思う。自分が失敗したとばれたら、自分が本当はだめだと皆に知られてしまう。・・・それに似た経験がありませんか?統合失調症を発症したばかりの人はそれを四六時中感じているのです。だからあのようなことをしたり、大騒ぎしたんだってわかってあげられますね。
幻聴、幻覚、妄想は、過労と二日眠れなければ誰にでも起こることです。異常なことではありません。きっとあなたにも心覚えがあるはずです。心が健康なら、それは一時的です。何かの拍子ではっとわれに帰れます。しかしそれができず、それが続けば辛く、心の疾患となってしまいます。三日眠れなければ要注意です。
妄想が作り出される仕組み
〇自分というものがあいまい 〇対人関係に敏感で繊細
〇不安や葛藤を自分の外へ投影する + 〇自分と他人の区別がつきにくい
〇それによって不安や葛藤を客観化 〇空想的な世界に浸りやすい
↓
自分が周りを意識している
↓
周りが自分を意識している
↓
自分がみんなに嫌悪感をあたえないようにしている
↓
皆が自分に嫌悪感を抱いている
↓
被害関係妄想
*「投影」とはスライド映写のように相手というスクリーンに自分を映してみている。スクリーンは真っ白い幕、そこに写っているのは、後ろから光をあてられ、スクリーンに投影されたスライド写真。自分というスライドフィルムを相手というスクリーンに映写している。スクリーンに映っているもの=相手と思ってしまうこと。
相手はただの白い幕、写っているものとは違う。これが思い込み=投影
☆たとえば自分がイライラしているとする、そのイライラを相手の顔にスライド映写して、相手の顔を見て、相手がイライラしていると思い込む。そして相手が自分にイライラしていると思い込み、とても気になり、敏感になる。相手は全然気にしていなくても、そう思い込んでしまいます。自分の思い込みで相手と自分の関係があいまいになる。
*自分が回りに取り囲まれ、全員の意識が自分に集中していると感じる:外に出られなくなる。それが被害妄想になり、それが高じると自分が攻撃される前に自分を守る為に先にやっつけると考え、行動に出ます。ここまで行く前に病院で受診しましょう。
この先制攻撃の暴力が一番恐いとこで、あなどれない部分です。程度もありますが、命の危険まで来ると深刻です。その時はためらわず保健所や精神保健センターに相談しましょう。
「その他の、統合失調症に重要な症状」
〇思考吸入(他人の考えが自分の頭の中に入ってくる)〇思考搾取(自分の考えが抜き取られる)は自分の考えを自分のものと認識できないから起きる。
〇思考伝播(自分の考えが漏れて周りに広がる)〇思考察知(自分の考えが読み取られてしまっている)は自分と周囲との境界があいまいだから起こる。
*このように自分というものがあいまいになっていることが重要な点。
幻覚は?
〇「幻覚とは、感覚化された妄想である」(シャランス)⇒幻覚の発生する機制は妄想と同じと考えていい
自分というものが崩壊している人⇒自分の頭で考えていることが自分の考えでないように認識する⇒感覚性を帯びて他人のものとして自分に返ってくる⇒幻聴になる
幻聴が被害的で会話性であることが重要
〇統合失調症の方は、対人関係において敏感だからこそ、被害関係妄想が特徴的に生じる
〇その観念に感覚性が付与されて生じるのが幻聴⇒だから、幻聴の内容も被害的になる
〇自分の声が他人の声になって自分に返ってくる⇒会話性になる
慢性期@幻覚妄想が背景化するのは?
慢性期は自分というものの崩壊が進んだ末期状態。すると、幻覚妄想を作り出す心理機制も勢いが減る。⇒幻覚妄想をもっていても表面に出さなくなる。幻覚妄想による不安や恐怖も漠然としてしまう。それが背景化。(それが本人には日常の背景と同等となる。)
*心のエネルギーがあれば、幻覚、妄想に対して不安を感じるが、エネルギーが弱くなると不安でなくなる。それが現実になり、当たり前になり、それがその人の住む世界となる。結果なれて、違和感や疑問が消えあたりまえになり、不安でなくなる。そこに住むことになり、そこでのやり方やすごし方が定着し、それが周りの人には異常に見える)
慢性期A
「自分というもの」の崩壊があまりにも進まない方は・・・・幻覚妄想も漠然となりにくく、持続する⇒妄想型:幻覚妄想を自分で認識するが恐れない、しかしそれが実在するものと考える。
「自分というもの」の崩壊が著しい方は・・・幻覚妄想が目立たなくなって、人格崩壊⇒瓜破型:それに飲み込まれ、その世界に生きてしまう。
「自分というものを」治療する??
@統合失調症は「自分というもの」があやふやになってしまうことが病気の本質
A薬はあくまで幻覚妄想などに対する対症療法
B理屈で考えると「自分というもの」を強化できれば理想的だが・・・??⇒どのように!
C「自分というもの」は他人との関わりの中でしっかりしていくもの⇒OTやSST、当事者支援の場での仲間作りや、人との関わりが重要です。作業所や地域のNPO支援組織もあります。当事者の意思をふまえ、そのような場を活用して、生きる世界を少しずつ広げていきましょう。
*デーケア:人との関わりの中で自分というものを再構築して行く。