もし私が一人でも傷ついた人のこころをいやすことが出来たら
私が生きていることは無駄ではなくなる
もし一つの人生でも苦しみをやわらげることが出来たら
一つの痛みでも軽くし
一羽のこまどりでも弱り果てているのを
巣に戻してやれたなら
私の生きていることは無駄ではなくなる
− エミリ−・ディキンソン
「人を生かすものは霊であって、肉はなんの役にも立たない。わたしがあなたがたに話した言葉は霊であり、また命である。」(ヨハネ6章63節)
神の御言葉の効用
いたずらに悪戦苦闘して人生を送る人が大勢いる。御言葉を読むためにほんの少し時間を取るだけで、自分の求める平安や信仰や幸せがもたらされるというのに。
主人の手が触れたから
マイラ・ブルックス・ウェルチ作
傷だらけの古びたバイオリン
「こいつは、時間をかける値打もない」
内心そう思いながらも
競売人はバイオリンを持ち上げ、微笑んだ。
「さあ、このバイオリンは幾らから?
誰か値をつける人は?
1ドル、1ドル。2ドル、たったの2ドルかい
2ドルがついた。3ドルは?
3ドル出た。3ドル。他にいませんか。
では3ドルで売却!」
その時、後ろの席から白髪の人がやって来て
弓を握った
古びたバイオリンのほこりを払い
緩んだ弦を締めると
甘美な調べを奏で始めた
情感こもった美しい調べを
音楽が止むと、競売人は
弓と一緒にバイオリンを持ち上げた
低く優しい声でこう聞いた
「では、この中古のバイオリンの競り値は?」
「千ドル、二千ドルはいませんか?
二千ドル、三千ドル!
三千ドル、三千ドル。他にいませんか?
では三千ドルで売却!」
皆が喝采した。だが驚く人達もいた
「あんなに買値が上がるとは
一体どういうわけだ?」
その答えは…
「主人の手が触れたから。」
正しい音を奏でなくなった心
罪によって傷だらけになった人が大勢いる
彼らは、冷たい人々によって、安っぽく扱われる
あの古いバイオリンのように
そして、主がやって来ると
愚かな群衆は、魂の真の値打ちも
主が起こされる素晴らしい変化も
全く理解できない
ああ、わが主よ! わたしは調子の外れた楽器のよう
あなたの御手で触れて下さい
わたしを変え、心に歌を与えて下さい
主よ、あなたへのメロディーを!
ヒューバート・デビッドソン博士は、有名な詩人マイラ・ブルックスを訪問した。彼女は、「主人の手が触れたから」の傑作によって広く知られている。さて、別れ際にマイラ・ブルックスは車椅子を軽くたたき、「これを神に感謝していますよ!」と言った。車椅子の生活を心からありがたく思っていたのだ! 実は彼女の才能は、車椅子の生活を送るようになってから見いだされた。彼女は、この身体の障害を恨むのではなく、かえってそれをバネに、より良い人間になろうと決意した。それから、素晴らしい人生の使命の扉が開いたのだった。
ブラント著